検証の条件

リバランスの基本(なぜ必要か・具体的なやり方)はリバランスの方法と最適な頻度で解説しています。本記事では「頻度」だけを変えて、他の条件をすべて固定しました。

  • 期間:1990年〜2024年(35年間)、100万円を一括投資
  • リバランス頻度:年1回/半年ごと/四半期ごと/隔月/毎月 の5通り
  • 対象:値動きの性質が異なる3つの配分(下表)
  • 通貨:円ベース(為替変動込み・配当込みの概算)

先に、この検証の限界を明記します

当サイトのエンジンは年次リターンを12ヶ月に均等展開して計算しています。 つまり「年の中で上がり続ける資産」を毎月少しずつ売る形になるため、頻繁なリバランスの不利が実際の市場より大きめに出ます。 以下の数値は「毎月リバランスがここまで悪化する」と読むのではなく、 「頻度を上げても改善はしなかった」という方向性として読んでください。

結果:3つの配分×5つの頻度

株60/債40伝統的バランス型

頻度100万円→年率(CAGR)最大下落率
年1回2,330万円9.41%-28.4%
半年ごと2,072万円9.05%-30.0%
四半期ごと1,953万円8.86%-30.8%
隔月1,915万円8.80%-31.1%
毎月1,878万円8.74%-31.4%

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4資産均等全世界株・米国債・金・米国REITを25%ずつ

頻度100万円→年率(CAGR)最大下落率
年1回1,589万円8.22%-22.8%
半年ごと1,345万円7.71%-24.7%
四半期ごと1,236万円7.45%-25.6%
隔月1,201万円7.36%-25.9%
毎月1,168万円7.27%-26.3%

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株50/金50値動きの異なる2資産

頻度100万円→年率(CAGR)最大下落率
年1回2,098万円9.08%-21.5%
半年ごと1,779万円8.57%-23.1%
四半期ごと1,636万円8.31%-24.0%
隔月1,591万円8.23%-24.2%
毎月1,547万円8.14%-24.5%

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データから読み取れること

頻度を上げても、成績は良くならなかった

3つの配分すべてで、最も成績が良かったのは年1回でした。 たとえば株60/債40では、年1回の2,330万円に対して毎月は1,878万円。 頻繁にリバランスするほど「上昇トレンドの途中にある資産を売って、弱い資産を買い増す」回数が増え、 トレンドの利益を取りこぼしたためです(前述のとおり、この差は本エンジンのデータ形式で強調されています)。

「リバランスをしない」のとも違う

誤解しやすいのですが、この結果は「リバランス不要」を意味しません。 リバランスをまったくしなければ、35年の間に株式の比率がどんどん膨らみ、 リスクが当初の想定から大きくずれていきます(暴落時の下落も配分想定より深くなります)。 リバランスの主目的はリターンの最大化ではなくリスクを設計どおりに保つことであり、 その目的には年1回で十分だった、というのがこの検証の読み方です。

積立をしている間はどうか

毎月5万円を積み立てながら同じ検証をすると(株60/債40)、 年1回リバランスで16,571万円、毎月リバランスで14,008万円でした。 積立自体が目標配分に沿って資金を足していくため、リバランスの役割の一部を毎月の入金が肩代わりしてくれます。 積立フェーズでは「崩れた分は売らずに、次の積立の配分で戻す」—— いわゆるノーセル・リバランスから始めるのが、コスト・税金の面でも合理的です。

実務的な結論

  • 過去35年の円建てデータでは、リバランス頻度を年1回より増やすメリットは確認できなかった
  • 現実には売却益への課税・売買コスト・手間も、頻度を下げるべき明確な理由になる
  • 「年1回、決めた月にやる」または「配分が5%以上ずれたらやる」のどちらかを、機械的に続けるのが現実解

リバランスの具体的な手順・NISA口座での注意点は理論編の記事にまとめています。 また、シミュレーターの詳細設定ではリバランス頻度を変えて自分の配分で再現できます。