相関とは(30秒のおさらい)
相関係数は2つの資産の値動きの連動度を-1〜+1で表す指標です。 +1に近いほど同じ方向に動き、0なら無関係、マイナスなら逆方向に動く傾向を意味します。 ポートフォリオ全体の値動きをなだらかにするには、相関の低い資産を混ぜるのが基本です (アセットアロケーション入門)。
検証の条件
- データ:当サイトが公開している1990〜2024年の年次実績リターン(円建て・配当込み概算)
- 計算:35個の年次観測値からピアソン相関係数を算出
- 比較:当サイトの将来予測(パラメトリックMC)が使う想定相関との差も併記
主要ペアの実現相関(1990〜2024年・円建て年次)
| 資産ペア | 実現相関 | ツールの想定値 |
|---|---|---|
| S&P 500 × 米国債 | 0.10 | -0.15 |
| S&P 500 × 日本国債 | 0.02 | -0.10 |
| S&P 500 × 金 | -0.14 | 0.05 |
| S&P 500 × 日経225 | 0.59 | 0.55 |
| S&P 500 × 全世界株式 | 0.89 | 0.88 |
| 全世界株式 × 米国REIT | 0.53 | 0.65 |
| 日経225 × 日本国債 | -0.44 | -0.10 |
| 金 × 米国債 | -0.00 | 0.05 |
読み取り①:株式と債券・金の相関は、実際に低かった
S&P 500と米国債の実現相関は0.10、日本国債とは0.02と、ほぼ無相関。 金にいたっては-0.14と、この35年の年次データではむしろ株と逆に動く傾向がありました。 「株の下落を債券や金がやわらげる」という分散の教科書的な説明は、円建ての実績でも確認できます。 意外なところでは日経225と日本国債の相関が-0.44と明確なマイナスで、 国内でも株と国債は美しく逆相関でした。
読み取り②:想定値とのズレも隠さず示します
当サイトの将来予測が使う想定相関は、一般的な月次データの水準を参考に設定したものです。 年次の実現相関と比べると、方向は概ね一致するものの、水準には差があるペアもあります (例:S&P 500×米国債は想定-0.15に対し実現0.10)。 相関は測る期間・頻度でこれだけ変わる不安定な統計量であり、 シミュレーション結果を「点」ではなく「幅」で読むべき理由のひとつです。
株が沈んだ年に、何が浮いたか
相関係数は便利ですが抽象的です。もっと直接的に、 「S&P 500がマイナスだった9つの年」に守り資産がどう動いたかを並べます。
| 年 | S&P 500 | 金 | 米国債 | 日本国債 |
|---|---|---|---|---|
| 1990年 | -14% | -2% | +10% | +7% |
| 2000年 | -12% | -6% | +8% | +3% |
| 2001年 | -19% | +2% | +10% | +4% |
| 2002年 | -32% | +25% | +14% | +4% |
| 2007年 | -10% | +31% | +7% | +2% |
| 2008年 | -44% | +1% | +1% | +5% |
| 2011年 | -8% | +10% | +17% | +3% |
| 2018年 | -8% | -4% | -2% | +1% |
| 2022年 | -8% | +7% | -12% | -1% |
株のマイナス年9回のうち、金は6回、米国債は7回、 日本国債は8回プラスでした。 特に2002年(ITバブル崩壊の底)の金+25%や、 2011年(欧州債務危機)の米国債+17%のように、 株の苦しい年に大きく浮いた例が分散効果の実体です。 いっぽう2018年と2022年のように、どこにも逃げ場が少ない年も現実に存在します。 2022年は米国債が-12%と株と同時に沈み、「株と債券の分散」だけでは守れませんでした。
相関は安定しない——期間で割ると別の顔
S&P 500×米国債の相関を期間で分けて計算すると、1990〜2007年は0.31、 2008〜2024年は-0.01。同じペアでも時代によってここまで変わります。 相関は物理定数ではなく、金融環境(インフレ・金利局面)で変化する「クセ」のようなものです。 過去の相関を将来に外挿しすぎないこと——これも実データが教えてくれる大切な注意点です。
実務的な結論
- 株式+債券+金の組み合わせは、円建ての実績でも分散効果が確認できた
- ただし2022年型(株債同時安)もあるため、「債券があれば安心」ではない
- 相関は期間で変わる。分散は「必ず守れる保険」ではなく「守れる確率を上げる工夫」と捉える
実際に相関の低い3資産を組み合わせると、ポートフォリオの動きはどう変わるのか。 シミュレーターのバックテストで、株式100%と比べてみてください。