検証の条件
- 期間:1990年〜2024年(35年間)、円ベース(為替変動込み・配当込みの概算)
- 対象:代表的な資産4種(単体)と分散ポートフォリオ2種
- 抽出方法:資産額の天井→底→天井回復を1つの「下落エピソード」とし、下落率15%以上を一覧化
重要な注意:本データは年次リターンがもとになっているため、年の途中で急落して年内に戻した局面(2020年コロナショックなど)は現れません。 また月次の実際の値動きで見れば、底はここに示す数字より深かった可能性があります。 「少なくともこれだけの下落が起きた」という控えめな記録として読んでください。
過去35年の下落エピソード一覧
| 対象 | 天井→底 | 下落率 | 底までの期間 | 底から回復まで |
|---|---|---|---|---|
| S&P 500(単体) | 1999年→2008年 | -60% | 108ヶ月(約9.0年) | 65ヶ月(約5.4年) |
| 日経225(単体) | 1990年→2002年 | -77% | 156ヶ月(約13年) | 257ヶ月(約21年) |
| 全世界株式(単体) | 1990年→1990年 | -16% | 12ヶ月(約1.0年) | 31ヶ月(約2.6年) |
| 1999年→2002年 | -49% | 36ヶ月(約3.0年) | 42ヶ月(約3.5年) | |
| 2007年→2008年 | -43% | 12ヶ月(約1.0年) | 53ヶ月(約4.4年) | |
| 2021年→2022年 | -16% | 12ヶ月(約1.0年) | 8ヶ月 | |
| 金(単体) | 1990年→1992年 | -15% | 36ヶ月(約3.0年) | 12ヶ月(約1.0年) |
| 1993年→2000年 | -31% | 84ヶ月(約7.0年) | 33ヶ月(約2.8年) | |
| 2012年→2015年 | -29% | 36ヶ月(約3.0年) | 52ヶ月(約4.3年) | |
| 株60/債40 | 1999年→2002年 | -23% | 36ヶ月(約3.0年) | 42ヶ月(約3.5年) |
| 2006年→2008年 | -28% | 24ヶ月(約2.0年) | 46ヶ月(約3.8年) | |
| 4資産均等 | 2007年→2008年 | -23% | 12ヶ月(約1.0年) | 20ヶ月(約1.7年) |
4つの大きな下落局面
① 日本バブル崩壊(1990年〜):回復まで30年超
日経225は1990年(実際の高値は1989年末)を天井に-77%まで下落。 底をつけたのは2002年で、天井から156ヶ月(約13年)も下げ続け、 そこから元の水準を回復するまでにさらに257ヶ月(約21年)かかりました。 天井から数えると回復まで約34年。実際に日経平均がバブル期の高値を更新したのは2024年のことです。 「株は長期で持てば必ず戻る」という言葉が、単一国への集中投資では通用しないことを示す、最も重い実例です。
② ITバブル崩壊(2000〜2002年)と円建て米国株の「失われた9年」
全世界株式はITバブル崩壊で-49%下落し、回復までに42ヶ月(約3.5年)を要しました。さらに注目すべきはS&P 500です。米ドル建てでは2007年にITバブル前の高値をいったん回復しましたが、円建てでは円高も重なって高値を取り戻せないままリーマンショックに突入。 結果として1999年の天井から2008年の底まで-60%、108ヶ月(約9.0年)に及ぶ長い谷が刻まれました。 「米国株は最強」のイメージがある今こそ、円で生活する投資家にとって為替を含めた期間がどれほど長く感じられたかを知っておく価値があります。
③ リーマンショック(2008年):分散が試された年
2008年は円建てで、S&P 500が-44%、全世界株式が-43%、 米国REITが-50%と、リスク資産がほぼ全面安になりました。 その中で日本国債は+5%、金は+1%と持ちこたえ、 「暴落時の守り」の役割を実際に果たしています。この結果、全世界株式100%の下落が-43%(回復まで53ヶ月(約4.4年))だったのに対し、 4資産均等は-23%(回復まで20ヶ月(約1.7年))にとどまりました。
④ 2022年インフレ局面:株と債券が同時に下がった年
2022年は「株が下がれば債券が守る」という定石が崩れた年でした。 円建てで全世界株式が-16%下落する一方、 米国債も-12%と株と同時に下落。 金は+7%と、数少ない逃げ場になりました。ただし全世界株式のドローダウンは-16%と過去の暴落より浅く、 回復も8ヶ月と早めでした。急速な円安が、円建ての下落をかなり和らげたためです (同じ年のS&P 500は円建てでは-8%にとどまり、15%の抽出基準に届いていません)。
分散の価値は「下落の浅さ」より「回復の早さ」
一覧表をあらためて見ると、分散ポートフォリオの本当の価値が見えてきます。 単体資産は一度大きく沈むと回復に5年、10年、時に数十年を要しました。 いっぽう4資産均等のようなポートフォリオは、下落そのものが浅いため回復も早く、 「投資をやめたくなる期間」が圧倒的に短くて済みます。 暴落に耐えるとは我慢比べではなく、耐えられる深さに設計しておくこと——それがこの35年の記録から得られる教訓です。
暴落を「追体験」してみる
シミュレーターのバックテストで開始年を2007年や1990年に設定すると、 暴落の直前に投資を始めてしまった場合の資産推移を追体験できます。 自分の配分がその局面でどこまで沈み、何年で戻ったのか——数字で見ておけば、次の暴落は「想定内」になります。