2つの手法は何が違う?

どちらも「この資産配分なら将来どうなりそうか」を調べる方法ですが、アプローチが正反対です。

  • バックテスト:過去に「実際に起きた1本の歴史」をなぞる
  • モンテカルロ:起こりうる「無数の未来(1000通り)」を生成し、確率で示す

バックテスト:過去を忠実に再現する

バックテストは、指定した開始年から1990〜2024年の実績リターンを順番に当てはめ、 ポートフォリオの推移を再現します。ITバブル崩壊やリーマンショックといった実際の暴落が そのまま反映されるのが強みです。

ただし弱点もあります。再現できるのは「過去に起きた1本の道」だけで、 開始年を1年ずらすだけで結果は大きく変わります。 「たまたまその時期だったから良かった/悪かった」という運の影響を切り離せません。

実測:同じ配分でも、開始年でここまで変わる

まったく同じ株60/債40を15年間運用した場合の年率リターンを、開始年だけ変えて実測しました。

開始年19901995200020052010
15年の年率リターン10.2%6.7%3.7%7.0%12.5%

最良(2010年開始)の年率12.5%と、最悪(2000年開始)の年率3.7%では、 15年後の資産に大きな開きが生まれます。この「開始年ガチャ」を確率の幅として扱えるのがモンテカルロ法—— というのが、2つのモードを併用する理由です。

モンテカルロ:未来を確率の幅で見る

モンテカルロ法は、1000通りの未来シナリオを生成し、その分布(ばらつき)を示します。 本ツールには2つの方式があります。

ヒストリカルブートストラップ(推奨)

実績の年次リターンを1年単位でランダムに抽出(復元抽出)してシナリオを作ります。 正規分布を仮定しないため、リーマンショック級の暴落(ファットテール)が自然に含まれ、 資産間の相関構造も実績ベースで再現されます。

パラメトリック(正規分布仮定)

各資産の期待リターン・標準偏差・相関から数学的に乱数を生成します。 計算は安定しますが、現実の急な暴落を過小評価しやすい傾向があります。

結果の読み方:中央値とパーセンタイル

モンテカルロの結果は、1本の線ではなく「帯(バンド)」で表示されます。 これは1000通りの結果を良い順に並べたときの位置を表します。

  • 中央値(50パーセンタイル):ちょうど真ん中の結果。「最も起こりやすいあたり」の目安
  • 95パーセンタイル(楽観):上位5%の好成績ライン。これより良くなるのは20回に1回程度
  • 5パーセンタイル(悲観):下位5%の不調ライン。これより悪くなるのも20回に1回程度

大切なのは中央値だけを見ないことです。5パーセンタイル(悲観シナリオ)でも生活が成り立つかを 確認しておくと、暴落が来ても慌てずに済みます。帯の幅が広いほど「結果のブレが大きい=リスクが高い」配分だと分かります。

資産枯渇確率の意味

取り崩しモードでは「資産枯渇確率」が表示されます。これは1000通りのうち、 期間内に資産がゼロになってしまったシナリオの割合です。 たとえば「枯渇確率5%」なら、20回に1回は資産が尽きる計画ということ。 一般に、この数値が十分に低くなる(取り崩し額を下げる、期間を見直す、配分を調整する)ように プランを組むのが安全です。

どう使い分けるか

  • 過去の暴落での落ち込みを体感したい → バックテスト(2008年などを含む期間で)
  • 将来のリスクを確率で把握したい・取り崩しの安全性を見たい → モンテカルロ(ブートストラップ推奨)

両方を見比べることで、「過去にどうだったか」と「これからどうなりうるか」の両面から、 自分の資産配分を点検できます。各手法の前提データや計算式はデータと計算方法で公開しています。